ご挨拶と鬼ノ城塾の概要

 鬼ノ城塾(きのじょうじゅく)は岡山県総社市阿曽の鋳物師(いもじ)である林正実(たたらの阿曽の村下「むらげ」として各地で古代たたら製鉄の操業指導と阿曽の鋳物の再興もすすめる)が、古来吉備津神社との関係が深い阿曽の鋳物の再興を、現代アートとのコラボレーションによって実現できないかと考え、平成13年4月に発足させました。
以来、古代山城・鬼ノ城の麓にある鬼ノ城ゴルフ倶楽部のクラブハウス(隈研吾さん設計)を教室として、会田誠さん・山口晃さん・名和晃平さん・ヤノベケンジさん・小谷元彦さん・束芋さんといった最先端の現代美術家を中心に、隈研吾さん・西沢立衛さん・石上純也さんといった建築家、南條史生さん・秋元雄史さんといった美術館長、写真家の安齋重男さん、美術批評家の椹木野衣さんなどの多彩な講師を総社市阿曽の山中にお招きしてきました。通算で114回目となる12月講座は、年明けの1月11日(土)に「災害と美術」をテーマにサンロード吉備路のコンベンションホールで開催した課外講座(フォーラム)とさせていただきます。前年の令和元年6月講座(講師は椹木野衣さん)、8月講座(近藤健一さん)、10月講座(山内明美さん)として開催した3回の「災害と美術」をテーマとした連続講座のまとめの講座として、この3人の講師にパネラーとして再び総社に終結いただき「災害と美術」をテーマに討議いただいたものです。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2月講座以降の開催は自粛を続けています。安心・安全が確認できる時がくれば再開したいと、教室を提供いただいている鬼ノ城ゴルフ倶楽部との打ち合わせを密に行っていますが、コロナウイルスとの戦いは長期戦の様相も見えます。再開についてのご案内は、まずこのホームページで行います。
鬼ノ城塾は年6回(偶数月・第4土曜日の15時から)のクラブハウスでの講義と懇親会のあとは、総社市内に出て、居酒屋での「講師を囲む打ち上げ」を恒例としています。
また、これまでに東京都六本木の森美術館、瀬戸内海の男木島、宇和島の木屋旅館などを舞台に、講師を務めてくださった美術家たちと県外で交流する課外講座も行っています。塾長の林が行う各種の鉄のイベントもあります。これらの全ての情報のご案内を、このホームページで行ってまいります。通算で114回目の講座開催を迎えることができたいま、さらに充実した講座を実現し、岡山に元気をと願うものです。引き続き、鬼ノ城塾へのご支援をお願い申し上げます。


鬼ノ城塾 =
岡山のサワラと鬼城塾の講師達 講義前ミーティング講義懇親会総社市内の居酒屋での講師を囲む打ち上げ + 課外講座


プロフィール写真

林正実|はやしまさみ 鬼ノ城塾塾長 阿曽の鋳物師

1948年岡山県生まれ。企業のメセナ事業を通して日本各地の芸術・文化・アート・地域貢献活動との関わりを深める。福岡県博多在勤時の1990年に始まった慶応義塾大学三田キャンパスにおけるアートマネジメント・プロデュースのオムニバス講座に博多から毎週末参加。南條史生氏との出会いにより現代アートの魅力を知る。アートプロデューサー・アートディレクターとしての活動をまず博多と東京のアーティストを繋ぐかたちで開始。 1995年、博多から再度の大阪転勤を機に岡山県総社市阿曽の実家へ。平日の大阪への新幹線通勤の傍ら日本古来の製鉄技術の「たたら」の修行に入り、島根県奥出雲の木原明氏と出会う。1997年、大正時代に絶えた吉備の酒米「都(みやこ)」を阿曽の自宅前の休耕田で復活させ、酒米を地元の三宅酒造に提供するとともに酒造り会員を募集、できた酒を吉備の国ゆかりの鬼と鉄の「鬼鐵(おにてつ)」と命名して販売開始。2001年、隈研吾氏設計の鬼ノ城ゴルフ倶楽部のクラブハウスを拠点に「鬼ノ城塾」、2003年、堀和平ゆかりの総社商店街筋の古民家を再生する「堀家住宅の利用を考える会」、2005年、岡山市の祭りの「うらじゃ」に協賛して阿曽の鬼神・温羅(うら)を顕彰する「阿曽の火祭り」を発足させた。2007年12月、三菱UFJニコス退職。翌月の2008年1月から「鋳物(いもの)」の修行に入り、林秀弘氏の教えを受ける。同時に古来、吉備津神社との関係が深い阿曽の鋳物を再興する「阿曽の鋳物60年プロジェクト」をスタートさせる。上田秋成の雨月物語の「吉備津の釜」そして「梁塵秘抄」にも記されている吉備津神社御釜殿の「鳴釜神事に使われる釜」の鋳替え(古来、阿曽の鋳物師によっておよそ60年に一回、釜の鋳替えの神事が行われてきた)を再び阿曽の鋳物師の手に取り戻すための、最後の阿曽の鋳物師としての企て。「総社芸術祭2019」の前夜祭において古代たたら製鉄の操業を阿曽の村下(むらげ)として実現するなど各地で「たたら製鉄」の操業の指導や「鋳物体験教室」を開催するなど古代からの吉備の文化・民俗・伝統技術の地域への伝承活動を現代アートと連携させながら続ける。福武文化奨励賞(2017)。